《当サイトを覗いて下さいます少数の皆様へ》

0.はじめに

 結社スメール代表、Tonksこと楠敦です。平素はこのような更新の少ないサイトに足繁く通って下さいましてありがとうございます。と言いますか、何の報告もできないでいることをひたすら申し訳なく思い、それでも当社の活動を気に懸けて下さる方々には感謝の言葉もありません。また、半年に一度くらいのペースで頂きます「制作の進み具合どうよ?」とのご質問に断片的な返答しかお返しできないでいたこともあり、この度、そのあたりを一度きちんとご報告しようと思い立ちました。そのようなわけで、当社で現在制作中の作品「実験的なテアトロ」に関しまして、2010年6月末日時点での進捗をご報告致します。

1.テキスト…約80%完成

 長々と時間はかかっておりますが、なにげにテキストは順調に進んでいます。目下、スクリプトを含まない純テキスト(txtファイル)の累計で2.5MBとかなりの分量に達しています。ボリュームだけ見れば商業作品でも珍しいクラスの壮大な物語です。従いまして、8割方完成しているという客観的事実をみても、書き手本人といたしましては完成は遙かなる地平線の先にあるように思えてなりません。

 ここでテキストに関連しまして、「実験的なテアトロ」という作品の構成について少し説明致します。物語はおおまかに分けて2つのパートから成り立っています。即興劇団ヒステリカの舞台前一週間の顛末を描いた「ヒステリカ編」と、それに続く舞台当日の緞帳があがってからの世界を描いた「テアトロ編」です。そして、各編はそれぞれ3人のヒロインであるアイネ、キリコ、ペーターに対応する章から構成されています。現在、体験版として公開しております物語が、ヒステリカ編におけるペーターの章に相当します。そのペーターの章と並び立つアイネの章およびキリコの章からヒステリカ編が構成されています。さらにそれと対を成すようにアイネ、キリコ、ペーターそれぞれの章から成るテアトロ編が、ヒステリカ編と表裏一体の物語として連結され、全体として実験的なテアトロという作品を構成するものとなっています。

 そのような前提におきまして、ヒステリカ編は今を遡ること数年前に完成しております。すなわち、現状はテアトロ編を書き進めている段階なのですが、先月にようやくペーターの章が完成しました。これでペーターの物語に関しては、ヒステリカ編およびテアトロ編を通してすべて完成ということになります。また、テアトロ編の残りについて、キリコの章は全体9日間中4日分が完成、アイネの章は全体9日間中5日分が完成しております。今後、まずキリコの章を最後まで書き上げ、次にアイネの章を書き上げてテキストに関しては脱稿、となります。予定では今年中にすべてのテキストを書き終えることになっています。さもなくば私ことTonksはしびれをきらしたメンバーに焼肉やらコンビニのおにぎりやらを奢るハメになります。

2.サウンド…約60%完成

 想定しております総曲数60曲中37曲が完成しております。ヒステリカ編に30曲を、テアトロ編に30曲をあてる予定でおり、ヒステリカ編における楽曲はほぼすべて揃っています。6割方完成ということですが、実のところサウンドに関してはまったく問題なく制作が進行しており、むしろテキストが進まないために作業の手を休めてもらっていた状態です。ペーターの章が完成したことで作業も再開され、今後はまた順調に進んでゆくものと思われます。なお、最終的には3人のヒロインそれぞれにボーカル付きのエンディングテーマを用意することを考えており、サウンド面においても実験的なテアトロという作品を壮大なものとすべく、日夜、音屋チームとバカ話に興じながらマジメに制作に取り組んでおります。

 なお、メンバーとして参加しておりましたzakki_は稼業の都合等によりだいぶ前に脱退いたしました。ですが制作済みの楽曲に関しては作品への使用が決定しており、制作に関与したスタッフとしてスタッフロールなどにも参加してもらう予定でおります。

3.グラフィック…0%完成

 この現状をお伝えするのは非常に心苦しいのですが、グラフィックに関しましては昨年末にメイン絵描きであったクロジが脱退し、またいちからのやり直しということになりました。なお、メンバーとして参加しておりましたファルゼーレにつきましても数年前に脱退しております。サブグラフィッカはよそでのお仕事を頑張りながらスタンバっておりますが、メインのキャラデザが空位であるため作業を進めることができず、事実上ラインが止まった状態にあります。

 で、新しいメイングラフィッカについてなのですが、複数のメンバーからの意見により、テキストが完成するまでは募集を控えることにしています。なまなかでない仕事量になる上に物語が固まっていないのでは絵描きとしては安心して作業ができない、というのがその理由です。従いまして、当面はテキストの執筆に全力を傾注し、それが完成した暁に満を持してメイン絵描きを募るという方向で考えております。実際問題としまして、テキストが書き上がった後、スクリプトを組みながら必要な絵を発注し、併行して文章や音楽を調整してゆくというプランは理想的と思われますので、とりあえずそんな工程で進めていきたいと考えている次第であります。

 なお、メイン絵描きが定着しない理由につきまして、残ったメンバーの言葉を借りれば「あんた(=Tonks)がごちゃごちゃ言い過ぎるのが悪い」ということのようであり、実際、自分でもそう思い反省しておりますので、次に参加してくださいますメイン絵描きの方には、思いっきり自由にやってもらう心づもりです。つか、そういう野望持ってる人がいいです。「実験的なテアトロという作品を自分の絵で完全に食ってやるぜ!」みたいな。

4.おしまいに

 以上が現時点における実験的なテアトロの制作状況になります。制作開始から経過した年月を思えば未だ完成させられていないことはまことに恐縮であり、また一部に関してはとても順調とは言えない状態ではありますが、全体としては着実に進行しております。そして内容に関しましては、少なくとも公開中の体験版をプレイしてくださった方の期待を裏切らないだけの作品をモノにできる自信があります。

 私事を述べれば、私ことTonksはノベルゲームが好きでした。ノベルゲームという形式のゲームが世の中に生まれ落ちたその時からノベルゲームが大好きでした。徹夜をしてやりこんだこともありました。物語の世界から抜け出せなくなったこともありました。タチの悪い低廉な麻薬のような、そんなノベルゲームが大好きでした。そんなノベルゲームをいちファンとして渇望し、巡り会える日を夢見て今日まで生きてきました。

 ずっと待っていてくれる少数の方々のために、テアトロをそんなノベルゲームにしてみせる。それをここに誓います。お待たせしただけのものは見せます。テキストを8割方書き上げて、今はじめてそう宣言できます。これまでどこにもなかったクレイジーな作品を近い将来、必ず手元にお届けします。ずっと待っていてくれる少数の方々のためにそれを約束します。

 梅雨明けの季節はテアトロの季節なわけですが、今年もまたテアトロの季節が来ます。正直、作り始めたときはこの季節をこんなに何回も眺めることになるとは思いませんでした。あと何回この季節をくぐれば完成させられるのか、そんな風に考えていたこともありました。ですが今はもうそんな風には考えません。これから何回この季節を眺めたとしても、「実験的なテアトロ」という作品を絶対に完成させる。今、我々の中にある思いは、ただそれだけです。

 2010年6月末日 結社スメール代表 楠敦